(※1)『サイレント・ランニング』
1972年製作。エコロジカルなテーマのカルト的SF映画。地球上の緑が枯れてしまった未来、唯一生き残った植物は、宇宙貨物船内のドームで栽培されていた。しかし、遂にそのドームにも放棄する命令がくだり、自然を愛する主人公が必死に抵抗する──。監督・特撮は、『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』『ブレードランナー』などの特撮を手掛けたダグラス・トランブル。75年、ジョージ・ルーカスから『スター・ウォーズ』第1作への参加をオファーされたトランブルは、『サイレント・ランニング』の特撮スタッフだったョジン・ダイクストラを紹介。ルーカスの特撮工房ILM創設に関わったダイクストラは、コンピュータ制御によるモーション・コントロールカメラを開発し、特撮技術を飛躍的に向上させ、アカデミー賞視覚効果賞を獲得。その直後、ダイクストラが手掛けたのが、オリジナルTVシリーズ『宇宙空母ギャラクティカ』の特撮だった。なお、『サイレント・ランニング』の脚本は、マイケル・チミノ、デリック・ウォッシュバーンら。後にチミノは、ウォッシュバーンの原案・共同脚本で『ディア・ハンター』を監督。『GALACTICA/ギャラクティカ』の【承:season 2】には、『ディア・ハンター』のテーマ曲を印象深く引用したエピソードが登場する。
(※2)ヴァリー・フォージ号
『サイレント・ランニング』の舞台となる宇宙貨物船。この船のミニチュアは、オリジナルTVシリーズ『宇宙空母ギャラクティカ』の船団の中に“カメオ出演”している。ヴァリー・フォージは元来、米海軍の空母の名前。1970年に退役し、廃棄のためにロングビーチの造船所で保管されていた同船内部で『サイレント・ランニング』は撮影され、それに因んで宇宙貨物船の名として採用された。なお、『GALACTICA/ギャラクティカ』の『序章:ジェノサイド』後半、船団を束ねる際に、ロズリン大統領が民間船「植物園クルーザー」を訪ね、少女と会話を交わすシーンが登場する。緑が覆い茂ったドームをもつクルーザーは、ヴァリー・フォージ号へのオマージュを感じさせ、山崎監督が目撃したミニチュアは、この船だと思われる。
(※3)『PLUTO』
浦沢直樹の傑作マンガ。浦沢が多大な影響を受けた、手塚治虫の『鉄腕アトム』の「地上最大のロボット」の回を、新たな視点から甦らせたSFサイコロジカル・サスペンス。リメイクを切望した浦沢は、手塚治虫の息子・手塚眞に許諾を求めると、手塚眞は、単なるオマージュとしてではなく、あくまでも浦沢作品として描くことを条件に了承。その結果、キャラクターデザイン、ストーリーともに浦沢独自のアレンジが加えられ、原作では脇役だったキャラが主人公に据えられている。第9回手塚治虫文化賞マンガ大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
