ストイックなカメラワークから
死に対するリアリズムが生まれる
── 日本のVFXの第一人者から見て、『GALACTICA/ギャラクティカ』のVFXは?

山崎 いい仕事してますよね。目指していた「ミニチュアで撮った感じ」を本当に大事にしてる。ことさらにVFXを強調しすぎてるカットがない、という点もスゴいです。ニュースやドキュメンタリーの映像みたいですもんね。戦場カメラマンのようなカメラワーク── 。手ブレもあるし、急にズームしたりもする。戦闘シーンのBGMが太鼓の音だけという潔さもカッコいいです。それって、思ってもなかなかできないことなんですよ。CGは何でも自由ですから、VFXに頼って派手さを目指すと、「見得を切る」ような綺麗なカメラワークになりがちなんですけど、そこをあえてドキュメンタリー風にしてるのは、とてもオシャレです。わかってらっしゃる(笑)。あそこで、いかにもなカメラワークを始めてしまうと、観てる方は引いちゃうんですよね、もう21世紀ですから。CGで宇宙船を作ったりすることがスゴい時代だったら、みんな、「スゴいなあ」って観てくれたと思うんですけど、今、それ見せられると、「当たり前」ってことになってしまうんで。ストイックなカメラワークによって、「リアルに戦ってる」という感じが潜在意識に伝わってくるんですよ。不自由なカメラワーク── 不自由というか、もう撮るだけで精一杯というカメラワークを、あえて演出してるってのがスゴい。21世紀ですねえ(笑)。VFXの使い方がすごく大人ですよ。当然こういう作品だから、VFXというのは必要。かつては戦闘機が出てくるSFだったら、必ず“VFX大会”になってしまっていたんですけど、『GALACTICA/ギャラクティカ』にはストイックな戒めがある。ルールを作っている。「今、撮りに行ってきました!」みたいな絵にしているところは、共感できますね。そうしないと、今はもう駄目なんです。これ見よがしな絵なんてどうでもいいんですよ。そんなものは誰も求めてない。宇宙船の戦闘シーンなんて、過去に何百回と繰り返されてる絵だから、何か新しい要素を加えるためには、ドキュメンタリー風な撮り方はいいですよね。素直にやっちゃったら、それまでは面白くても、早く人間ドラマにならないかなあって思っちゃいますから(笑)。戦闘シーンの突き放したカメラワーク。あれが逆に“くる”んですよ。「ああ、本当に死んじゃった…」という感じで。CGでなければできないようなカメラワークをされてしまうと、死んだ感じがしない。「死んでるけど、芝居でしょ」みたいな。本当の戦場ってあんな感じだと思うんですよ。逃げ切れたのに…と思うような歯がゆい状況で死んでいく。あのカメラワークにより、死に対するリアリズムが生まれているんです。それは、頭で理解できなくても、潜在意識には植え付けられる。ロボットと戦ってるのに本当に悔しくなったりしますからね。サイロン、本当に怖いし(笑)。

── 『GALACTICA/ギャラクティカ』の中で、監督も使ってみたい技法はありましたか?

山崎 いろいろありますよ。でも、それは内緒、ということで(笑)。

僕なら苦いハッピーエンドで
号泣に次ぐ号泣の結末へ導きたい!
── では、ここで難しい質問をひとつ。アメリカではいよいよラストシーズンとなる【結:season 4】がスタートしましたが、もし山崎監督ならどのような結末にしますか?

山崎 終わらせ方ですか…。そうですね、僕にはひとつ持論があって、長い物語はハッピーエンドでなければいけない、と思っているんですよ。つまり、それだけみんなを引っ張ってきたわけだから、どんな回り道をしても正しいエンディングに導かなければいけない、と。だから、僕ならハッピーエンドにしますね。ただし、かなりの苦味を持ったハッピーエンド。ビター・ハッピーエンド。「さまざまな人が犠牲になったことによって、私たちはここにたどり着けました。だから自分の人生を大切にしなければいけないし、この地面に立てたことを大切にしなければいけない」っていう感じのハッピーエンド。だから、もしかしたらメインの登場人物はほぼ全員死ぬかもしれない。いろんなことがあって、でも最後には数人、ほんの“種子”だけでもいいと思うんですよね。それは、活躍していなかった人かもしれないし…。もしかしたら、何人かの子供だけが地球にたどり着くのかも…。希望の種子は残しつつ、メインのキャラクターはみんな死んでくような気がする。すごく苦いけど、それは絶対にハッピーエンドなんです。ロールプレイング(・ゲーム)と一緒で、最後にはキャラクターへの思い入れが強くなっているから、きっともう、号泣に次ぐ、号泣でしょうね。

── それでは最後に、『GALACTICA/ギャラクティカ』を観たことのない方へ、オススメの言葉をお願い致します!

山崎 とにかく僕は、この素晴らしい作品を世に埋もれさせたくない。本当に1人でも多くの人に観て欲しい。ダマして、無理矢理にでも見せてしまいたいくらいです(笑)。SFなのに『ER』を超えているドラマですから!

── 本日は、本当にありがとうございました!

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